特殊清掃の費用・料金相場と 優良業者の見極め方

テレビや新聞などのマスコミで盛んに報じられるようになった特殊清掃。通常の清掃と違い、事件、事故、自殺、孤独死、ゴミ屋敷のような特殊な現場を清掃して原状復帰させる作業のことをいいます。特殊清掃は人の死と密接な関連のある作業だけにその作業内容と費用・料金相場は多岐にわたります。具体的に事例から見る特殊清掃の料金もご紹介します。また信頼できる優良業者の見極め方にもコツがありますのでご参考までにどうぞ。

特殊清掃とは?

特殊清掃とは事件、事故、自殺、孤独死、ゴミ屋敷のような特殊な現場を清掃して原状回復させる作業のことをいいます。特に遺体の発見が遅れた場合は体液や血液で室内が汚染され、元のような状態に回復させるのが難しくなります。また害虫の発生も大問題になります。こうした状況下では通常の清掃と違い、特別な技術や装備が必要になるため、経験と実績のある特殊清掃専門業者に依頼するのが安心です。

特殊清掃を必要とするのは亡くなった人の遺族や、賃貸物件の場合の大家です。同居している家族はもちろんのこと、遠方に住む親類縁者も特殊清掃の基本的な知識を持っていたほうがよいでしょう。

事件、事故、自殺の場合、発見された遺体は一旦警察が引き取りますが、現場の清掃や原状回復は残された遺族や関係者が対処しなければなりません。しかし遺体の発見が遅れた場合は腐敗臭、血液や体液の浸潤、害虫の発生など、とても素人では対処できない事態になります。また長年ゴミを溜め込んだいわゆるゴミ屋敷も、腐敗、悪臭、害虫などの汚染環境となります。これらは市販の洗剤等では解消できないため、強力な薬剤を使うことになります。スキルとノウハウを持っている特殊清掃業者を呼ぶのが基本です。

【閲覧注意】画像で見る特殊清掃現場の実態

特殊清掃の費用・料金相場

特殊清掃の料金は一律に提示できるものではありません。それは現場の状況によって、作業内容、作業人員、作業時間が変動するからです。ですから同じ間取りでも料金が違うケースがあります。そのため料金がわかりにくいと感じるお客様も多いようです。次の価格表はあくまでも「ふくろう」が提示する目安だとお考えください。特殊清掃の相場についてはインターネットで検索するなど予備知識を頭に入れておくことをおすすめします。実際に発注する際は複数の業者から相見積もりを取るようにして、より正確な料金を確認するようにするとよいでしょう。

【作業別の特殊清掃料金相場】

サービス内容 作業費用
床上の特殊清掃 33,000円より
浴室清掃 33,000円より
消臭剤・除菌剤の散布 11,000円より
消臭(オゾン処理) 33,000円より
作業人件費 22,000円より

【間取り別の特殊清掃料金相場】

間取り 料金 作業時間目安 作業人数
1R~1K 50,000~100,000円 1~3時間程度 1~2名
1LDK~3LDK 70,000~300,000円 4~8時間 3~6名
4LDK以上 220,000~600,000円 6~12時間 4~10名

3.優良業者の見極め方

特殊清掃の料金は業者が自由に設定できます。したがって相場は高安まちまちと言っても過言ではありません。施工品質が高い業者は料金も高い、施工品質が低い業者は料金も安い、というのが一般的な相場感ですが、特殊清掃の場合はそうとも言い切れません。作業内容、作業面積、作業人数、作業時間などを明記した見積書を受け取って、相見積もりで比較検討するのがベストだと思います。

優良業者の見極め方

特殊清掃を依頼する際に意識したい「優良業者の見極め方」をご存知でしょうか。たった3つのポイントですが、これがあるとないとでは大きな違いが生まれます。

  • 特殊清掃の経験、実績、資格があること
  • 見積もりの内容がわかりやすく正確なこと
  • 必ず複数の業者から相見積もりを取ること

解説『特殊清掃の経験、実績、資格があること』

特殊清掃は文字通り特殊な清掃ですので経験や実績がものを言います。また資格も「事故現場特殊清掃士」などを所持していると信頼の目安になります。特殊清掃そのものは資格を持っていなくてもできますが、関連する資格を持っているというのは、それなりに勉強している証拠になります。業者を選ぶ時はこれらをホームページやクチコミで調べるようにしましょう。

解説『見積もりの内容がわかりやすく正確なこと』

特殊清掃は専門的な技術者が専門的な作業を実施します。その作業内容や費用が適正に見積書に記載されているかどうかを確認しましょう。業者によっては項目や費用をあえて難しく書いて料金を高めに請求するケースもあるようです。見積書に書かれている単位や金額がわかりやすい業者を選びましょう。見積書は正確であることが大事です。作業した後で追加料金を言い出すような悪質な業者もいるので要注意です。

解説『相見積もりを取る』

特殊清掃を業者に依頼する際には必ず複数の業者から同一条件で相見積もりを取るようにしましょう。他社と競合ということであればどの業者も安めに見積もりますし、結果的に相場に近い金額に落ち着くはずです。特殊清掃は業者によって料金が大きく異なる傾向があるので、同条件でも数万円単位で請求額が変わってくる可能性があります。その点、相見積もりは費用を安くするのに有効な方法です。ただし見積もりが極端に安すぎる業者は逆に警戒すべきです。むかしから「安かろう 悪かろう」と言うように作業品質に問題のある場合があるからです。特殊清掃は独特の知識や技術が必要なのに、経験豊富な技術者ではなくアルバイトが作業している例もあります。また清掃作業に立ち会うことができないため手抜きされることもあります。清掃直後はきれいに原状回復できたように見えても数日後に悪臭が出る場合もあります。ですから作業品質が信頼でき、アフターケアも約束している良心的な業者を選ぶように心掛けるようにしましょう。

費用が安い場合、良心的な理由で安く料金設定をしている業者もいますが、そうではないグレーゾーンの業者も多いものです。料金だけでなく、実績や口コミ・対応などを確認して総合的に判断するようにしましょう。

事例から見る特殊清掃の料金例

事情により特殊清掃が必要になった場合、その作業内容や料金体系に詳しくないと、戸惑われることと思います。パンフレットやホームページを見てもあいまいな相場や概算だけの価格表だけが掲載されている業者も多いと思います。もうすこし現場や作業内容がわかる画像や動画を確認したいと思われるかもしれません。ただし特殊清掃を必要とする現場は事件、事故、自殺、孤独死などの凄惨な現場ですのでおおむね閲覧注意です。それでも事例を見て料金を理解したいというお客様もいらっしゃいます。ここでは比較的ソフトな事例をピックアップして料金例をお伝えしようと思います。

事例① 450,000円

70代男性の孤独死で遺品整理と特殊清掃(東京都府中市)

亡くなった70代の男性は死後10日ほどで訪ねてきた親戚に発見されました。この賃貸住宅に長く住んでいて、妻に先立たれてからは一人で暮らしていたそうです。典型的な孤独死で、寒さの厳しい冬の夜にコタツの中で死亡したため遺体はかなり腐敗が進んでいました。冬の孤独死は遺体の腐敗が少ないと思われがちですが、多くの場合エアコンやホットカーペットなどを使っているため、むしろ腐敗は進みます。今回の場合も故人は電気コタツに入った状態で亡くなっていたため腐敗が深刻でした。遺体収容後の遺品整理と特殊清掃は故人が借りていた賃貸住宅の大家さんからの依頼でした。大家さんの希望は次の入居者のために汚染や悪臭を解消し、少しでも良い状態の室内環境に回復してほしいというものでした。この遺品整理と特殊清掃で排出された荷物の量は2トントラック3台分。作業時間は3時間、稼働人員は5名でした。料金は遺品整理と特殊清掃を合算して450,000円でした。

特殊清掃現場こたつ

部屋はきれいに整理されていたがコタツに入った状態の孤独死で腐敗が進んだ

事例② 280,000円

死後1か月以上の孤独死現場を特殊清掃(東京都台東区)

現場はアパート2階の2DK。特殊清掃の依頼者はアパート経営者で、要望は「悪臭がとても気になるのでなるべく早くニオイを消してほしい」というものでした。ここで亡くなった住民は発見されるまで1か月以上経過していたため、遺体の腐敗臭がひどく、近隣の部屋から苦情が出ていました。体液は床下まで浸潤していて床上げが必要でしたが、床板の張り替えまではしないで済みました。孤独死してしばらく音信不通だったせいか電気や水道も暫定的に止められていました。荷物は意外と少なく処分する物量は2トントラック1台分、作業人員は3名で作業時間は3時間でした。亡くなった男性は日頃から「自分は天涯孤独だ」と言っていたそうで、家族も親族もいないようでした。異変に気付いたのは隣の部屋の住人で、悪臭がするのでアパート経営者に連絡したとのこと。合鍵を使ってドアを開けると暗い室内から明るい玄関に向けてハエがたくさん飛び出てきたそうです。住人の男性はフローリングの床に倒れていました。不審死ということで警察を呼び、遺体を検分したところ、かなり腐敗が進んでいました。遺体は警察が運び出してくれましたが、現場は床まで体液が広がっていました。特殊清掃はニオイの原因である血液、体液、肉片などをていねいに取り除きます。床の清掃だけでなく壁紙をはがさないと腐敗臭はなかなか消えません。どうしてもニオイが残る場合は数日間にわたり消臭器(オゾン)をかけます。今回はスピーディに原状回復ができてアパート経営者に満足していただきました。

特殊背う層現場荷物なし

現地調査と見積もりの時点で家具や荷物はすでになく、体液による床の汚染と悪臭の解消に集中できた

まとめ

特殊清掃は事件、事故、自殺、孤独死、ゴミ屋敷などの苛酷な現場を清掃して原状復帰させる作業です。現場の状態により作業内容は多岐にわたり、費用・料金相場も千差万別です。必ず複数の業者で相見積もりを取るなど優良業者を見極める努力をしましょう。

この記事の監修者

山本 真一郎
山本 真一郎株式会社ふくろう 代表取締役
自らお見積り、遺品整理、特殊清掃、不動産調査を担当。現場を肌で感じお客様の要望を常に意識している。「誠意」と「技術」を信条とし、ご遺族様に心から寄り添い、真心の遺品整理や生前整理を日々行う。
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